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30億円投資で約40年ぶり新本社、コンタクトレンズのシードが広がる世界市場を狙う

30億円投資で約40年ぶり新本社、コンタクトレンズのシードが広がる世界市場を狙う

シード公式サイトより

シードは約40年ぶりに新本社を建設する。現本社を建て替え、営業機能の強化や業務効率改善、ブランド力向上につなげる。併せて2021年度中にソフトコンタクトレンズの主力工場である鴻巣研究所(埼玉県鴻巣市)の設備を増強し、生産能力を約6%高める。経済成長に伴う近視人口の増加や高齢化などでコンタクトレンズの世界市場が広がる中、投資を積み増し、シェア拡大を狙う。

東京都文京区本郷の現本社と同じ場所に新社屋を建設し、分散していた営業部門などを集約する。22年10月に着工し、24年4月完成を目指す。投資額は30億円程度。研修会場を設け、販売店に対する製品講習もできるようにする。

現本社は1982年に完成し、老朽化が進んでいた。現状は6階建てで経営企画、営業、マーケティングなどに所属する約300人弱が勤務する。22年3月に本社機能を東京都千代田区神田錦町の三洋安田ビルに一時的に移す。

営業、管理部門の強化と並行し、コンタクトレンズを増産する。主力生産拠点の鴻巣研究所では国内向けに加え、中国など海外輸出用のコンタクトレンズを生産する。国内最大級の月間約5000万枚の生産能力を持つ。設備を追加導入し、月間5300万枚程度まで増やす計画だ。

同社の21年3月期売上高は286億円。国内コンタクトレンズ市場でシェア約10%を握る。22年3月に眼鏡事業から撤退し、成長が見込まれるコンタクトレンズ事業に経営資源を集中する方針。

インドの調査会社マーケッツアンドマーケッツはコンタクトレンズの世界市場は20―25年まで年率6・7%で伸びると予想する。

シードは需要が広がる中国など海外展開も強化し、世界シェア拡大を狙う。20年度の海外売上高は、コロナ禍による外出機会の減少で落ち込んだものの、高い市場成長率を背景に21年度は過去最高の約43億円を予想する。

日刊工業新聞2021年10月8日

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