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ノーベル物理学賞に真鍋氏!受賞理由は「CO2の温暖化影響予測」

ノーベル物理学賞に真鍋氏!受賞理由は「CO2の温暖化影響予測」

真鍋叔郎氏(米プリンストン大学上席研究員=18年5月撮影)

スウェーデン王立科学アカデミーは、2021年ノーベル物理学賞を米プリンストン大学の真鍋淑郎上席研究員(90)と独マックスプランク研究所のクラウス・ハッセルマン氏(89)、ローマ・ラ・サピエンツァ大学のジョルジオ・パリージ氏(73)に授与すると発表した。受賞理由は「地球温暖化の予測のための気候変動モデルの開発」。

授賞式は12月10日にストックホルムで行われる。だが、新型コロナウイルス感染症の拡大抑制のため、受賞者は自国でメダルと賞状を受け取る。賞金として1000万スウェーデンクローナ(約1億2600万円)が贈られる。

真鍋氏は、シミュレーションを使って地球に関する物理モデルを開発し、気候の成り立ちと変動を解明した。また二酸化炭素(CO2)の増加に伴う地球温暖化につながる基礎を確立。大気中のCO2の濃度上昇が地球表面の温度上昇につながることを実証した。

ハッセルマン氏は、天候と気候のモデルを作った。人間の活動によって排出されたCO2が大気中の温度上昇につながることを明らかにした。

クラウス・ハッセルマン氏

パリージ氏は、物理システムの無秩序で複雑な変動パターンを発見した。物理学以外に数学や生物学などの他分野にも適用できる。

ジョルジオ・パリ―ジ氏

海洋研究開発機構の河宮未知生環境変動予測研究センター長は「真鍋先生は気候予測という学問を創出した研究者だ。物理の原理原則を積み上げれば、地球環境を再現し予測できると示した。世界的な脱炭素の流れの中での受賞はこの分野への期待を表している。未来を予測する研究として責任を果たしていきたい」と語った。

【略歴】
まなべ・しゅくろう 58年(昭33)東大院理学系研究科修了後、米国立気象局(現米国海洋大気庁)で40年にわたり気象研究に従事。97―01年には旧科学技術庁の地球フロンティア研究システム地球温暖化予測研究領域長に就任。米国科学アカデミー会員。後に米国籍を取得。愛媛県出身、90歳。
日刊工業新聞2021年10月6日

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