中外製薬が難病・SMAの新治療薬、1日1回の経口投与で在宅治療が可能に

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脊髄性筋萎縮症薬「エブリスディ」は、1日1回服用の飲み薬

中外製薬は、難病の脊髄性筋萎縮症(SMA)の治療薬「エブリスディ」(一般名リスジプラム)を発売した。髄腔内に注射するなどの薬は存在するものの、エブリスディは一生涯の服用が必要になるとはいえ、1日1回の経口投与で在宅治療が可能となる。発症の多くは18歳未満の子どもで、患者や親たちの負担を軽減できる新薬として期待されている。(編集委員・丸山美和)

SMAは脊髄の前角細胞の変性により起こる筋萎縮と進行性の筋力低下が特徴の遺伝性疾患。全身に存在するSMN1という遺伝子が欠損もしくは変異していて、筋肉を動かすのに必要なSMNたんぱく質を作れない。このため、筋力が低下して手や足が動かしにくくなり、立てない、歩けないなどの症状が出る。首がすわらない、支えなしで座れないといった、成長に合った動きがみられないことが発見のきっかけになることが多い。

2009年に指定難病となり、国内では推定1000人の患者がいるとみられる。「小児疾患の中でも重症度が高い疾患」(同社)という。

低分子薬のエブリスディはイチゴ味のシロップで子どもも飲みやすい。生後2カ月以上であれば使用することができ、1日1回、食事後に経口投与する。作用する仕組みはSMN1遺伝子と似ているものの、正しく働かないSMNたんぱく質を作っているSMN2遺伝子に、薬の低分子が選択的に付く。

これにより、SMN2遺伝子が正しく働く機能性SMNたんぱく質を作れるようになり、筋肉の動きを助け、運動機能の維持ができるとされる。ある治療では機能性SMNたんぱく質が2倍になったという。

SMAの治療薬では他社の2剤と比較される。17年に発売された米バイオジェンの核酸医薬「スピンラザ」は年齢制限はないが、数週から数カ月ごとに脊髄腔への注射が必要。

20年5月発売のスイス・ノバルティスの遺伝子治療薬「ゾルゲンスマ」は2歳未満対象で一生に1回の静脈注射で良いが、薬価が約1億6700万円と高額で、国内最高額がついている。

日刊工業新聞2021年9月27日

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