経産省が形成に乗り出す「バイオコミュニティー」の未来図
経済産業省は東京圏に拠点を構える産学官の連携による国際的なバイオコミュニティーの形成に乗り出す。2021年夏にもけん引役となる協議会を立ち上げ、具体的な目標を記した基本計画の策定を年度内までに進める。バイオテクノロジーをめぐる世界的な競争が加速する中、大学や研究機関など多角的なつながりを通じてヒト・モノ・カネが流れ込む体制構築を目指す。
東京圏のバイオコミュニティー形成に向け今夏をめどに「Greater Tokyo Biocommunity(GTB)協議会」(仮称)を設立する。バイオインダストリー協会(JBA)が事務局となり、業界団体や自治体、大学、金融機関などの参加を働きかけて具体的な議論を進める。座長に永山治JBA理事長(中外製薬名誉会長)が就く方向で調整を進めている。
GTB協議会は他の国際的なバイオコミュニティーと比較するため実力の数値化を進めた上で、バイオ人材の育成、研究開発や実証の推進、国内外からの投資促進や情報発信など主に六つの目標を軸とした基本計画を年度内に策定する。これまで別々に展開していた東京圏のバイオ関連機関が連携し、互いの可能性を高めることで新たな人材や資金などの流入による相乗効果を高める狙いもある。
東京圏に焦点を当ててバイオ関連のコミュニティー形成を進めるのには、世界と国内で先んじた動きが進んでいることも要因の一つ。米ボストンや英ロンドンなどでは既にコミュニティー形成による集積が進み、国内でも関西圏で産学官連携の動きが進む。
政府は「バイオ戦略2020」でバイオエコノミー拡大によって30年に92兆円の市場規模創出を打ち出している。世界最先端の研究開発機関が集積する環境を構築するため東京から100キロメートル圏内の川崎、横浜、千葉、つくばなどに拠点を持つ各機関の連携により世界の中で一つの核として存在感を発揮していく。