量子コンピューティングがもたらすビジネス変革に備えよ。日本IBMがまとめた戦略リポートの中身

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量子コンピューターの利活用がビジネス革新のカギ

日本IBMは、経営層に対して、量子コンピューティングがもたらす将来のビジネス変革に備える戦略を提示するリポート「ザ・クアンタム・ディケイド(来るべき量子コンピューティングの時代)」の日本語版を公開した。量子時代に向けた戦略を認識、準備、優位性の3段階に定義。それぞれの局面でなすべき対応や可能性を示した。

第1段階はコンピューティングのパラダイム変化。データ分析から学ぶ時代から、シミュレーションや予測を通じた“発見の時代”への変化を認識すべきと指摘する。次の準備段階では、量子コンピューティングを採用した際の自社ビジネスの破壊と革新や、量子技術を応用する最適な領域、人材育成などの検討をはじめとする土台作りと定義する。

優位性は量子コンピューティングが適した応用領域において高効率かつ低コストで高品質な計算を実現できる段階を指す。量子優位性の確立には長い時間を要するが、IBMは「広範な適用先を積極的に模索することで業界変革を起こすことが可能」としている。

さらに業界別では金融、化学・石油、医療などを例に、量子コンピューターが複雑化する顧客パターンから最適な特徴選択を支援することや、リスクや不確実性の影響分析の計算を高性能かつ短時間で実行できる、といった利点を示した。

日本IBMは、量子コンピューティング活用を推進するサービスビジネス開発部門「QI&TS」を先兵として、量子コンピューティングを利活用するための戦略策定から、適応可能性の評価やユースケース(利活用)の見極め、各種トレーニング、実機を用いた検証・評価の支援、ユースケースの共同開発などにいち早く乗り出している。

IBMによると、量子コンピューターは2021年に127量子ビット、23年には1000量子ビットに到達し、30年までにはエラー訂正が実行可能な実用的な量子コンピューターが普及すると予測する。

日刊工業新聞2021年9月22日

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