工作機械の成長投資に800億円投じる日本電産の思惑
日本電産は工作機械事業の拡大に向けて、日本電産シンポ(京都府長岡京市)と日本電産マシンツール(滋賀県栗東市)で2026年3月期までに合計700億―800億円の成長投資に踏み切る。新工場取得やM&A(合併・買収)などを計画。売上高は両社合算で21年3月期比約2・6倍の2500億円を狙う。西本達也日本電産マシンツール会長(日本電産シンポ社長)は「欧州かアジアで大規模工場を検討中。遅くとも23年に稼働する」として、今後1か月以内に場所を決定する方針だ。
日本電産は8月に三菱重工工作機械の買収を完了し、「日本電産マシンツール」として営業を始めた。21年3月期の売上高は約230億円で、その半分以上を国内売上高が占め、海外での事業拡大が課題だ。このため海外の生産・サービス拠点拡充に加えて、日本電産のグローバルネットワークも活用する。海外売上高比率を引き上げ、日本電産マシンツールとしては26年3月期の売上高は1000億円を目指す。
工作機械事業の生産体制拡充の第1弾としては、欧州かアジア圏に生産拠点を確保する方向だ。また、工作機械メーカーが多い欧州を中心に相乗効果を期待できる企業のM&Aも複数検討している。
人材育成投資も積極化する。例年、国内で年数人程度だった採用数を、今後3年間は35歳以下の若手を中心に年50人程度に増やす。次世代を担う人材層を厚くする。
一方、日本電産シンポは26年3月期の売上高を現状比約2倍の1500億円に拡大する。「(前年までに)多くの工場投資をしてきた」(西本日本電産マシンツール会長・日本電産シンポ社長)とし、成長のためのM&Aに注力する。
日本電産シンポの持つ高精度で豊富な減速機、プレス機のラインアップに、マシンツールのホブ盤やギアシェーパー、歯車研削盤技術が加わった。これを強みに相乗効果が見込める企業買収を複数実施する。
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