EV電池に1.5兆円投資、トヨタが考える電動化時代の競争力
トヨタ自動車は7日、車載電池の開発・生産で2030年までに約1兆5000億円を投資すると発表した。生産能力を30倍以上引き上げるほか、新型リチウムイオン電池を20年代後半に投入する計画。電気自動車(EV)1台当たりの電池コストを半減することも目指す。車両と一体開発できる電池の内製力を強みに、電動化時代の競争力につなげる。
投資のうち約1兆円を生産ラインの増強に振り向ける。現状6ギガワット時の生産能力を30年に200ギガワット時以上にすることを想定する。EV向けに25年までに10本程度の生産ラインを設置。以降は年10本以上のペースで増設を進め、30年までに計70本程度を用意する。
現在、生産は主にパナソニックとの共同出資子会社や豊田自動織機が日本や中国で手がける。中国・寧徳時代新能源科技(CATL)など外部連携先を含め地域ニーズに合わせたグローバル生産体制を整える。電池調達では「地域によっては新たなパートナーを構築する」(技術担当の前田昌彦執行役員)。20年代前半実用化を目指す全固体電池はまずハイブリッド車(HV)で採用する方針。
トヨタは電池の内製を電動化時代の競争力と位置付ける。97年の初代HV「プリウス」以降積み上げてきた材料解析などの膨大なデータと車両データを生かした一体開発が強み。「車と電池の両輪で、開発スピードや性能の向上につなげられる」(前田執行役員)。
電池は投資負担が大きく経営リスクにもなる。そこでライン当たりの生産量やリードタイムなどを最小限に抑えてリスクを低減する。生産担当の岡田政道執行役員は「HV用電池ラインのノウハウを生かして投資を削減しながら、減産や転用にも対応できるラインにする」と話す。
日刊工業新聞2021年9月8日