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オリンパス「バリューエンジニアリング」推進で新組織、海外治療機器メーカーに対抗
オリンパスは、医療機器の製品開発力を強化する。バリューエンジニアリング(VE)を推進する新組織を立ち上げ、開発初期の製品コンセプトの段階からさまざまなエンジニアが製造する工程や方法が正しいか検証するバリデーションを実施する。無駄な開発費が生じる後戻りが発生しないようにし、開発費用の削減や製品化スピードの向上につなげる。コスト意識の高い欧米や、中国などの海外治療機器メーカーに対抗できる体制を整える。
VEは、製造・提供コストあたりの製品・サービスの機能や性能、価値を最大にする手法。製品のコンセプト段階からデザインや生産管理、製造プロセス、調達、品質・薬事申請などの担当者が集まり、製造する工程や方法が正しいか検証するバリデーションを実施する。その後、製品開発プロセスを構成する複数の工程を同時並行で進め、各部門間での情報共有や共同作業を行うコンカレントエンジニアリングにつなげる。
VEの新組織の専任メンバーは20人程度。オリンパスが研究開発を行う技術開発センター石川(東京都八王子市)を拠点にする。同社の田口晶弘最高技術責任者(CTO)は「既に成果として製造コストの削減はかなり進んでいる。今後、限られた開発投資の中で、多くのアウトプットを出せるようにする」と話す。
医療機器業界は、アイルランドのメドトロニックや米ジョンソン・エンド・ジョンソン、米ボストンサイエンティフィックなど営業利益率が20%を超える海外メーカーも多い。
オリンパスは2023年度に営業利益率20%を目指すものの、21年度は11・2%にとどまる。今後、製品開発においても投資効果を高めることで競争力強化を狙う。
日刊工業新聞2021年9月2日