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治療機器事業を強化へ、オリンパス社長が3分野への投資継続を明言

オリンパス社長・竹内康雄氏インタビュー
治療機器事業を強化へ、オリンパス社長が3分野への投資継続を明言

オリンパス社長 竹内康雄氏

―2020年発表の経営戦略の進捗(ちょく)は。

「内視鏡事業は、先進国市場に消化器内視鏡システムの新モデルを8年ぶりに投入した。治療機器事業は、欧米の企業を買収するなど複数の投資案件を実施し、事業拡大を図っている。企業体質の変革も進めている。ダイバーシティー(多様性)を高めるためのグローバル人事制度の導入、販売管理費の抑制、ガバナンスの強化・透明性確保などに取り組んでいる。新型コロナウイルス感染拡大は、進めてきた働き方改革を加速させるきっかけになった」

―治療機器事業を強化しています。

「消化器科、泌尿器科、呼吸器科の3分野に注力している。M&A(合併・買収)などで単純に製品のラインアップを増やすのではなく、強みを伸ばす投資、弱みを補強する投資の観点から進めている。例えば20年12月に呼吸器関連の先進医療機器を製造販売する米ベラン・メディカル・テクノロジーズを買収したのは、弱い部分を補強する狙い。今後も投資を継続する」

―ライフサイエンスや産業分野の製品を展開する科学事業と医療事業との相乗効果は。

「ライフサイエンス分野の病理検査や再生医療などは医療事業との関わりが強いため、シナジーを生かせる分野だ。工業用内視鏡や非破壊検査機器などを手がける産業分野は、世界中に顧客がいる。医療事業は各国の法規制があるため、デジタル化の取り組みが遅れる傾向にある。産業分野からデジタル化を進め、医療のデジタル化につなげたい」

―投資ファンドに譲渡した映像事業への今後の関与は。

「事業運営や戦略策定などを含め、譲渡後は一切関与はしない。ただし85年続けてきた製品のブランドは非常に重たいものがある。オーナーシップ(所有者)が変わったからといってブランドが変わることはありえない。日本産業パートナーズとは引き続きオリンパスのブランドを使用することで合意している。譲渡することによる悪影響はそれほどないと考えている」

*取材はオンラインで実施。写真は同社提供

記者の目/スリム化・利益率改善急務

23年3月期に営業利益率で20%以上を目指すが、新型コロナ感染拡大によって検査数が減少したことから主力の内視鏡事業が振るわず、21年3月期の営業利益率は9%弱に留まる予想。20年末にはグループ全体で950人の早期退職を募るなど経営スリム化と利益率改善を急ぐ。経営目標の達成には、M&Aで獲得した企業や製品群を生かし、育成中の治療機器事業を拡大することが求められる。(石川雅基)

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