都心マンションの競争軸に「スペース創出」の知恵、三菱地所レジ・東急不動産・大京が新提案
マンション各社が空間創出に知恵を絞っている。大京は8月上旬に完工した東京・両国の賃貸マンションで、仕事机として使える可動式の棚板を設置。棚板を取り付ければワークスペースに、外せば通常の部屋として使える仕掛けを施した。三菱地所レジデンスは、賃貸マンション向けに台所のシンクと洗面化粧台を一つにした住設機器を開発した。都心の用地取得が難しくなる中、各社とも限られた面積の有効活用に工夫を凝らす。(大城麻木乃)
大京は壁に取り付けられた金具にはめ込む方式の棚板を賃貸マンションに設置した。写真立てや花瓶などを飾る棚として使えるほか、仕事机としても利用が可能。横にスライドするパーテーションを閉じると、1人でこもって作業をする“ワークスペース”に早変わりする。「コロナ禍でワークスペースを求める声が多い」(業務企画部)ことに対応した。ただ、ワークスペースに固定した部屋にすると、来客時や家族が増えた際などに部屋が狭く感じる課題があるため、可動式の棚板やパーテーションにして柔軟に部屋を変更できるようにした。
三菱地所レジデンスはタカラスタンダードと共同で、通常、キッチンのシンクと風呂場に近い洗面化粧台を分けるところ、これらを一つにした住設機器を開発した。キッチンのシンクで顔を洗ったり、歯を磨いたりするイメージだ。洗い場が一つ減ることで、居室空間を従来の12・6平方メートルから約15平方メートルに約2割拡大できるという。2022年12月に東京・品川で完工予定の賃貸マンションに初導入する。ホテルや個人・小規模事業所(SOHO)、新築分譲マンション、リノベーション物件への導入も検討していく。
東急不動産はトランクルームを運営するエアトランク(東京都千代田区)と連携し、一部の新築マンションの入居者向けにエアトランクの外部収納サービスを1年間、無料で利用できる取り組みを行う。すぐには使わない荷物を外部に納めることで、マンション内に空間が生まれるという発想だ。
新たなスペースの創出に向け、各社の知恵比べが続きそうだ。