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リノベーションは百貨店でこそ相談すべき理由

そごう・西武が商品・設計を提案
リノベーションは百貨店でこそ相談すべき理由

サロンでは、顧客に対して2人のサロンコンシェルジュが応じる

 そごう・西武の西武池袋本店は、自分らしい暮らしづくりの準備をサポートする「くらしのデザインサロン」を2016年6月に開設した。サロンコンシェルジュが顧客の要望を聞き、要望に合うインテリアコーディネーターや建築家につなぎ、商品や設計を提案する。「百貨店は衣食住を扱うため、お客さまに合わせた総合プロデュースができる」(吉江弘文文化プロモーション部付部長)のが強みだ。

 サロンは子育てや仕事が一段落して、自分らしい暮らしを送る準備を考える50代以上が主なターゲット。これまで約1万200人が来店した。部屋を模様替えしたいといったものから、小規模改修(リフォーム)、シニアライフに備えた大規模改修(リノベーション)などさまざまで、商談件数は約1000件だ。

 例えば、模様替えを希望した場合、管理建築士やサロンコンシェルジュが、百貨店で展開するカーテンや照明器具、家具や家電、食器のほか、オーダー収納や壁紙の貼り替えなど顧客のイメージに合わせた提案をする。プランや見積書の提案は無料で受けられる。

「安心」と来店


 家全体の見直しを計画する人向けに新築やリノベーションにも対応する。実際、リノベーションを思い立ってもどこに相談すべきかわからず、「『いきなり建築家をたずねるのは敷居が高い』という方が『百貨店なら安心』と来店される」(遊佐直樹サロンコンシェルジュ)。1人暮らしの女性のリノベーション案件も増えているという。ハウスメーカーに行ってから相見積もりを取るために来店する人も多い。

 サロンでは、デザインや建築、医療などの専門家で組織するケアリングデザイン(東京都港区)と連携して、著名な建築家やデザイナーを紹介する。その際、サロンコンシェルジュは顧客にそれぞれの建築家の実績を写真付きで見せ、デザイン費、施工費も事前に提示する。設計・デザイン費用は床面積が基準で、新築なら1平方メートル当たり2万8875円(消費税抜き)から、リノベーションなら1万8000円(同)からとなる。紹介後の顧客と建築家のマッチングまでは無料。次の段階のプレゼンテーションには12万円(同)かかるが、うち10万円は成約時に設計・デザイン費用に充てられる。

評価も高い


 百貨店の西武池袋本店による住まいの総合サービス提供を知ってもらうため、外商顧客対象の地元販売会でPRしたところ、沼津在住の顧客がサービスを利用して家を新築した。暮らしにこだわりを持つ顧客からは「わがままを聞いてくれる」と評価も高い。

 現在、サロンがあるのは西武池袋本店のみで、対応可能範囲は同店から150キロメートル圏内にとどまる。今後も、住宅にかけるニーズとともに市場は伸びると見る。「今すぐリノベーションなどの計画がなくても、百貨店に来た際には気軽に寄っていただきたい」(遊佐氏)といい、そごう横浜店(横浜市西区)や西武渋谷店(渋谷区)でのサービス開始も検討している。(取材・丸山美和)

デザイン・機能などあらゆる要望にこたえた新築の家(山崎壮一建築設計事務所提供)
日刊工業新聞2019年10月18日

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