コマツが「選択定年制度」導入で狙う新陳代謝の活発化
コマツは4月から選択定年制度を導入した。国内のグループ会社までが対象で、一般社員と管理職で中身が分かれる。一般社員は60歳の時点で退職金をもらって退職するか、65歳まで継続雇用を望むかを選ぶ。管理職の場合は60歳については同じだが、継続雇用の期限年齢が62歳と3歳若い。「新陳代謝を活発化させたい」(内藤太一人事部労政グループ長)との方針からだ。
希望調査によると対象者の8―9割が「継続雇用の道を選ぶ」(同)という。選択定年制度の選択肢は一般社員では60歳か65歳のどちらかで、62歳や63歳などの中間年齢は認めていない。社内人事が煩雑になることもあるが、本人にどちらかを選ばせることで自分自身のキャリアをしっかり見つめ直す契機にするのが狙いだ。
ライフプランセミナーは従来、対象者が50代になってから行っていたが、選択定年制度を導入してからは「45歳ごろに開始時期を早めている。この先、対象年齢をさらに早めることも検討している」(同)という。
再雇用と違って選択定年制の場合は、60歳を過ぎても今までの肩書が保証される。技能伝承をしたいケースなどでは、同制度は有効だ。その代わり勤務はフルタイムで、残業や休日出勤の可能性もある。「年齢の体力負担も考えてオーバーワークにならぬよう、人事部としてチェックして見るようにしたい」(同)と配慮を欠かさない。
「日本ではいずれ65歳定年が義務化されるだろう。70歳定年制も検討されるかも知れない。いつ来るかわからないその時期を念頭に置いて、今のうちから準備を始めるのが大事」(同)とする一方、選択定年制を海外に広げる計画はない。各国のしきたりや制度に合わせて、適切に決める方針だ。
日刊工業新聞2021年8月17日