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工学系ベンチャーの「ユニコーン」増やせ。東大が起業家教育の寄付講座

東京大学大学院工学系研究科は、経営共創基盤(東京都千代田区、村岡隆史社長)、KDDIなどが設けた起業家教育の寄付講座の講義を今秋に始める。工学系ベンチャー(VB)で、企業価値10億ドル以上の未上場企業「ユニコーン」を増やすため、世界市場を見据えた事業モデルの研究と、実践教育により相乗効果を目指す。

寄付講座「アントレプレナーシップ教育デザイン寄付講座」は、期間3年間で、寄付額1億2000万円。東京大学エッジキャピタルパートナーズ(東京都文京区、郷治友孝社長)、松尾研究所(同、川上登福社長)も参加。起業家らを講師に資金調達や起業事例などを講義する。選抜30人によるフィールドワークでは、チームごとに疑似ビジネスの議論と事業会社役員向けの発表会も行う。

工学系のユニコーン創出には東大の研究を生かせる可能性が高いが、成功モデルに乏しい。実用化に時間がかかるため、開発資金の調達がカギになる。事業会社との連携が重要だ。新たな事業モデルに関する研究も同講座で手がける。

講座開設の会見で村岡経営共創基盤社長は「スタートアップとの協業に日本の大企業が真剣になり、世界ビジネスを目指せば海外大手ファンドの投資を呼び込める」と期待感を示した。高橋誠KDDI社長は「大企業のアセットを使い、スタートアップの成長を内側から支援する“オープンイノベーション第2章”だ」と述べた。

日刊工業新聞2021年8月20日

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