熟練工の作業をロボットに。多品種少量生産の製品手がける中小企業の挑戦

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熟練工のロウ付けを再現するロボットを導入し、品質の安定化と生産性改善につなげる

冷却コイル、生産性向上

関東精機(前橋市、魵沢剛史社長)は、熟練工が手がけるロウ付け作業の一部をロボットに置き換え、試験運用を始めた。熟練工の作業を詳細に再現して品質を安定化させ、省人化を図る。熟練工は複雑でより高度な技能が求められる仕事に回ることで、全体の生産性の底上げにつなげる。これにより従来比で約25%の生産性改善を見込んでいる。(群馬・松崎裕)

ロウ付けをロボットに置き換えたのは、油温・液温自動調整機「オイルマチック」の製造工程で、冷却コイルを固定する作業の一部。ステンレス製のスプリング状の冷却コイルを手作業で、一定のピッチにロウ付けし固定する。

社内の資格認定を受けた主に10年以上の経験を持つスキルの高い熟練工が作業に当たってきた。また作業の一部を資格認定した協力企業に外注していたが、対応できる従業員が高齢になり担い手が不足していた。

関東精機が製造するオイルマチックは複数のラインアップがあり、使われる冷却コイルの形状もさまざま。月産250台分もの冷却コイルを扱うが、直径249ミリメートルから同530ミリメートルの大小11種類の冷却コイルをロウ付けする必要がある。

同社江田工場(前橋市)の工程に、大進工業研究所(大阪市大正区)が、安川電機製の産業ロボットをロウ付け用にカスタマイズして導入した。投資額は約1500万円。人手で加工対象物(ワーク)を設置し、操作画面で指示すれば自動で作業を始める。冷却コイルのピッチを安定させるため、専用の固定治具も製作した。

現在、冷却コイル11種類のうち2種類がテストから量産体制に移り、10月までに全種類の作業に順次導入を広げる見通し。

ロボットでも熟練工と同等の作業品質を確保する

これまで自社と協力会社を合わせて4人で対応してきた作業を、ロボットを操作する従業員1人に削減し内製化する見通しだ。関東精機冷機事業部の大島武副事業部長兼生産本部長は「熟練工はロボットで自動化しにくい複雑なロウ付けに従事してもらう」とし、より付加価値の高い仕事を優先する。

ロボット導入に際し産業用カメラによる自動補正機能の導入も検討したが、アーク溶接と違いロウ付けは、溶け広がる形状をカメラで視覚的に認識できず自動化が難しい。そのため熟練工のロウ付けと同等の品質で作業できるよう、バーナーや銀ろうを取り扱うロボットアームを詳細にティーチングする。バーナーの火力調整やロウ付けする時間など作動時間やタイミングの調整を続けている。大島副事業部長兼生産本部長は「あぶる時間が長ければ焦げ、短ければ溶けない。調整が必要」と安定した作業を再現するため操作の準備に時間をかける。

関東精機は扱う製品が多品種少量生産のため、これまでロボット導入による自動化が難しかった。現在、部分的に共通化できる業務を対象に、若手のアイデアを集めながら自動化に取り組んでいる。さらなる生産性向上を目指す。

日刊工業新聞2021年7月27日

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