太陽系形成時の進化を解明へ。隕石が受けた加熱・水の反応跡を調べる手法開発
北海道大学の木村勇気准教授らは、隕石(いんせき)に含む微粒子の磁場の変化から構成鉱物が受けた加熱や水の反応の痕跡を調べる手法を開発した。隕石内の大きさ約100ナノメートル(ナノは10億分の1)の粒子の磁気特性を可視化できる電子顕微鏡で分析。分析した粒子が250―150度Cに急冷する間に形成したことを明らかにした。太陽系が形成される時の物理的・化学的進化の解明につながると期待される。
地球の鉱物の場合、岩石中の磁気の記録から古い地質変動を調べる。研究チームは、この技術を隕石が受けた加熱や水との反応の痕跡の分析に応用した。
太陽系初期に天体内で水と反応して作られる「磁鉄鉱ナノ粒子」に注目。電子顕微鏡内で150度Cと200度C、250度Cで加熱し磁気特性を分析。250度Cから150度Cに急冷される間に粒子が形成されたことが分かった。
天体形成のシミュレーション結果を合わせると、太陽系誕生から約300万年後に形成された彗星(すいせい)が移動する間に小天体と衝突して隕石になったと推定された。
ファインセラミックスセンター(名古屋市熱田区)や米パデュー大学との共同研究。
成果は宇宙系雑誌の「アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ」電子版に掲載された。
日刊工業新聞2021年8月13日