「はやぶさ2」地球帰還まで1ヵ月。“箱”の中身は?次の目的地は?
小惑星探査機「はやぶさ2」の地球帰還まで1カ月に迫った。小惑星「リュウグウ」で採取したとみられる試料が入ったカプセルが12月6日に地球に戻ってくる予定。はやぶさ2の地球帰還に向けた準備状況や今後の研究について、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の吉川真はやぶさ2ミッションマネージャに話を聞いた。
―はやぶさ2が帰還します。
「とても緊張している。はやぶさ2はこれまで多くのミッションを行ってきた。だが探査機は突然壊れることがある。何が起こるか分からない。ここまでは順調。帰還まで持ちこたえてほしい」
―準備状況や作業の流れは。
「豪州でカプセルを回収した後、採取した試料から気体が発生していないか確認する。発生していれば、地球の空気と混ざらないうちに気体だけ回収する。その後、日本にカプセルを送り試料分析を始める。そのリハーサルはほぼ終わっており準備は万全だ」
―現段階ではやぶさ2の一番の成果は。
「リュウグウ表面の岩石が隕石(いんせき)のような硬い石でなく、もろい岩であることを突きとめた。一般的に隕石は小惑星由来であり、隕石を調べると小惑星の詳細が分かる。だがリュウグウ表面のもろい岩は隕石として落ちる前に燃えてしまい、調査が進まなかった。今回、試料から詳しくリュウグウの物質を調べられる可能性がある」
―はやぶさ2はカプセルの分離後に地球を離れ、新たな小惑星を目指します。ミッションは。
「天体の地球衝突を防ぐ活動『プラネタリー・ディフェンス』が目的の一つだ。次に向かうのは直径十数メートルの小惑星。それが現実的に衝突を起こし得る惑星を調べられる。仮に地球に衝突する可能性があれば、その対策の検討に役立つ」
―多くの人がはやぶさ2の地球帰還を楽しみにしています。
「カプセルが地球に帰還するまで全力を尽くす。皆に応援してほしい。リュウグウから持ち帰った玉手箱(カプセル)の中身を楽しみにしてほしい」
記者の目/日本の技術力、世界に示せる
はやぶさ2が約6年ぶりに地球に戻ってくる。リュウグウでは2回のタッチダウン(着陸)を行い、試料の回収を試みた。初代はやぶさの欠点を全て改善したはやぶさ2は、ミスなくミッションを行ってきた。カプセル分離では、機体の姿勢制御や軌道変更などがポイント。成功すれば日本の技術力の高さを世界に示せる。(飯田真美子)