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日本触媒、世界首位のシェア誇る「高吸水性樹脂」の製造コスト削減へ一手

日本触媒、世界首位のシェア誇る「高吸水性樹脂」の製造コスト削減へ一手

姫路製造所にアクリル酸の精製工程の実証プラントを建設する

日本触媒は姫路製造所(兵庫県姫路市)で、アクリル酸の精製工程に要する電力などのエネルギーを従来比10%削減できる実証プラントを新設する。商業運転を見据えた生産能力を持ち、2023年に完成して24年ごろに商業運転を始める計画。ランニングコストを抑えることで、アクリル酸と、アクリル酸を原料とする高吸水性樹脂(SAP)の製造コスト削減につなげる。投資額は数十億円。

アクリル酸はプロピレンから製造し、最終工程でアクリル酸の純度を高める精製を行う。精製の前工程にあたる反応を行う既存設備と、エネルギーを削減できる新しい精製設備をパイプでつなぎ、新しい精製プロセスを実証する。生産能力は非公表。

日本触媒はSAPの世界シェア首位で、原料のアクリル酸から一貫生産できるのが強み。SAPは紙おむつに使用され、尿を吸収・保持する。SAPは中期的に年率3―5%程度での成長が見込まれるが、韓国や中国メーカーの台頭で競争が激化している。

同社は「(SAPやアクリル酸で)大幅なコストダウンをしないと安定したキャッシュフローを生み出すことは難しい」(入口治郎取締役専務執行役員生産・技術部門管掌)とみて新精製プロセスの確立を目指す。

同プロセスは新設プラントでの展開を基本とする。

日刊工業新聞2021年8月4日

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