国際コンペで日本唯一の1次審査通過。熱帯雨林をドローンで調査する仕組み

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ドローンによるインフラ点検などで得た知見を熱帯雨林調査に生かす

センシンロボティクス(東京都渋谷区、北村卓也社長)は、米国の非営利団体、XPRIZE財団が主催する熱帯雨林調査の国際コンペティションに応募、第1次審査で日本で唯一選定された。同コンペティションは賞金総額約10億円で、熱帯雨林の生態をリアルタイムで調査・モニタリングする技術の開発と、そのデータの分析技術で世界中の企業からアイデアを募っている。2次、3次審査を経て、最終決定時期は2024年春。選ばれればセンシンロボは内外に、自社の技術をアピールできる。(編集委員・嶋田歩)

熱帯雨林の減少やそれに伴う気候変動は、環境保題として近年盛んに取り上げられ、関心も高い。コンペティションでは生態調査やモニタリングについて、具体的な手法は示していない。

センシンロボの場合、候補は飛行ロボット(ドローン)に搭載するカメラやセンシング、衛星通信技術など。同社は複数ドローンを現地で飛ばして、撮影データとフライトログを保存・一元管理できる統合プラットフォーム(基盤)「センシンフライトコア」に強みを持つ。このフライトコアを通じ、熱帯雨林内のさまざまな場所の画像や気温、湿度、降水量などのデータを人工知能(AI)を活用して解析し、生態の把握につなげる。

熱帯雨林の減少は気候変動にも影響を与える

「人が行かない、行きにくい地点のデータをリアルタイムで収集し、観測や分析できることに意味がある」と、プロジェクトを担当する同社ソリューション部企画グループの大木健氏は話す。乱開発が進んでいる地域では数カ月前にあった熱帯雨林がなくなっていたり、台風や病気で枯れたりしている例も少なくない。そうした状況をいち早く発見できれば、環境の保全に役立つ。

熱帯雨林のある場所は南米や東南アジア、アフリカなどさまざまだ。センシンロボが応募するコンペではアジア地域が念頭で、23年春に2次審査、24年6月までに本選が行われる。1次審査を通過したのはセンシンロボ含め33社で、2次審査では10社前後に絞られる見込みだ。2次審査を通過後、本選で落ちても、3位前後までは順位に応じた開発賞金が与えられる。

現在のドローンは、マルチコプター型の場合、電池の関係で数十分しか飛べないものが大半。熱帯特有のスコール、高度による風速や気温の差、季節や昼夜による違いなども考慮しなければいけない。ドローンの制御や機種、機数選定以外に、衛星通信やロボットなど他の手段による技術をどう組み合わせるかもポイントになる。

日刊工業新聞2021年7月28日

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