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支店長就任に必要な経験年数を廃止する愛知銀行の事情

愛知銀行は10月、現行の人事考課制度を大幅に刷新する。支店長の就任要件における最低経験年数の廃止や評価制度を細分化するほか、専門分野の資格保有者に対する評価軸の新設、渉外担当者の評価制度も改める予定だ。大幅な人事制度の変更を行うのは約20年ぶり。働き方の変化に対応し、従業員の意欲をより引き出す就労環境を整える。

「人口が減少していく中で、より良く人材を生かす制度にしていく必要がある」と話すのは、人事部の赤尾基輝副部長。今回の刷新では、若手行員はモチベーションややりがいを高められ、中堅以上の行員はそれぞれのポストで役割を発揮できる制度を目指した。

年功を重んじる銀行業界では珍しく、支店長就任に関して42歳としていた最低経験年数を廃止し、能力次第でより早く上のポストに就くことができるようにする。理論上は30歳の支店長も実現可能だという。

給与体系でもメリハリをつける。従来、管理職は勤続年数を基にした固定給が7割を占め、残り3割が役職に応じた給与となっている。今回の変更では割合を半々にし、役割による給与の差をより明確にする。

また、中期経営計画で掲げる営業力強化のため渉外担当者の士気向上を給与面でもサポートする。現在は渉外担当者と内勤従業員の給与の差は渉外手当てのみ。10月以降は渉外手当てに加え、役割ごとに給与で差がつく制度を導入し、営業力を底上げする。

新たな枠組みとしては「高度専門職」を新設する予定。これまでもIT人材や士業など経験者の採用に力を入れてきたが、内部の評価制度だけでは外部から入行した人材に対する評価として不十分だったという。高度専門職として、採用後もしっかりと評価できるようにする。人材の多様化や人口の減少など社会変化に対応した銀行へ舵を切ることで、時代に合った支援を提供する銀行を目指す。

日刊工業新聞2021年7月20日

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