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下期の国内景気はどうなる?経営者の78%が「緩やかに拡大」と回答するワケ

2021年下期(7―12月)の国内景気は緩やかに拡大し、企業業績や設備投資は回復基調をたどる―。日刊工業新聞社が実施した景気定点観測調査によると、大手企業および中堅・中小企業経営者の78%が下期の国内景気は「緩やかに拡大」すると回答し、「拡大」を含めると82%に達した。ただコロナ禍の行方や米国のインフレ懸念、米中摩擦、原材料価格の高騰など先行きは不透明感が強く、経営者の見立て通りになるかは予断を許さない。

足元の景況感は前回調査(21年1月)と比べて小幅の改善にとどまった。前回調査では大手・中堅・中小経営者の54%が現状の景気は「拡大」(2・5%)ないし「緩やかに拡大」(51・5%)と回答したのに対し、今回は58%(「拡大」1・5%、「緩やかに拡大」56・5%)と伸びは大きくない。前回31%だった「足踏み状態」が今回は38%に伸びており、長引くコロナ禍などが経営者マインドに影を落としている。

だが先行きについては回復期待が高い。21年下期の国内景気は大手・中堅・中小経営者の82%(大手87%、中堅・中小77%)が「拡大」「緩やかに拡大」すると回答し、22年上期見通しではこの数字が85・5%(大手89%、中堅・中小82%)に引き上がる。

ワクチン接種の進展によるコロナ禍の収束期待、米中経済の拡大、自動車・半導体などの需要増が背景にあるとみられ、先行きの業績や設備投資にも改善傾向が示された。

大手企業は21年下期の経常損益について51%が「増益」と回答し、前回調査(21年上期)の30%から大幅に伸長。21年度の設備投資計画も「増やす」が48%と、前回調査の14%を大きく上回った。中堅・中小企業も経常損益は42%が「増益」(前回31%)、設備投資計画は36%が「増やす」(前回27%)と改善傾向にある。

ただ中堅・中小企業の39%(前回36%)が経常損益は「横ばい」、50%(前回46%)が設備投資計画は「変わらない」と回答するなど、大手企業との間に温度差も見られた。

業績に影響を与えると思われる項目(複数回答、最大五つ)では、大手・中堅・中小経営者200人中138人が「新型コロナウイルス」、102人が「中国経済」、94人が「米国経済」を1―3位に挙げた。「素材価格」は53人だった。

政府への要望については「ワクチン接種をさらに円滑に進めるため、関係者間の連携など一段の尽力を望む」(三井物産の堀健一社長)、「デジタル化・グリーン化に向けた規制緩和の推進と自由で開かれた国際経済秩序の回復」(ソニーグループの吉田憲一郎会長兼社長・最高経営責任者〈CEO〉)、「コロナで疲弊した中小企業と大企業の格差に対して、もう少し積極的な施策を希望」(湘南技術センターの原田宏一社長)などの指摘があった。

景気定点観測調査 日刊工業新聞社が6月から7月にかけて、全国の大手企業、中堅・中小企業それぞれ100人の経営者を対象に実施・回答を得た。次回の公表は22年1月を予定。
日刊工業新聞2021年7月19日

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