ダイキンが東京に研究開発拠点の新設を模索する事情
ダイキン工業は2023年をめどに、東京大学などと連携する研究開発(R&D)拠点を東京都内に開設する検討に入った。R&D拠点「テクノロジー・イノベーションセンター(TIC、大阪府摂津市)」の分室として移転後の東京支社に置く。優れた頭脳や情報が集まる首都と直結する産学連携拠点を設けたい考え。環境・エネルギーや、健康など社会ニーズの強い分野で、価値の高い製品・サービスの開発につなげる。
ダイキンは東京支社(東京都港区)を23年にも、JR東京駅近くのオフィスビルへ移転する。移転後は営業部門のほか、R&D機能も備える検討を始めた。TIC分室の運営方針や概要は今後詰める。
TICは技術者約700人が在籍し、最先端の実験設備を備える。大学やベンチャーを含む企業と相互に技術を開放するオープンイノベーション方式で連携している。主力事業の空調・化学のほか、環境・エネルギーや健康などの先進的な技術開発もテーマとする。
中でも東大とは18年に連携協定を結び、共同研究や人材交流、東大関連ベンチャーとの協業に取り組んでいる。東大には複数のダイキン社員が駐在している。
TIC分室も加えることで、首都で東大などとの協業を迅速化したい考え。空調の省エネやオゾン層を壊さない空調用冷媒、空気の環境技術による健康、美容、頭脳活性化など高付加価値な事業の創出につなげる。
一方、ダイキンは24年の創業100年プロジェクトとして、本社(大阪市北区)をJR大阪駅に近いオフィスビルに移す計画もすでに決めている。長野県の軽井沢には、海外関連会社や取引先のゲストらが宿泊する迎賓施設も建てる。施設用地として約6万平方メートルを取得している。
日刊工業新聞2021年7月15日