水晶デバイス20%増産、スマホ高機能化の対応でシチズンファインデバイスが一手
シチズンファインデバイス(山梨県富士河口湖町、篠原浩社長)は、フィリピンと日本の製造拠点に4億円を投じ、水晶デバイスを増産する。第5世代通信(5G)の浸透やスマートフォンの高機能化などによる水晶デバイスの需要増に対応するため、生産体制を強化。2021年度にも生産能力を前年度比20%増にする。24年度までに計約13億円の投資を行い、水晶関連製品の増産体制を構築する。
水晶デバイスを増産するのは、御代田事業所(長野県御代田町)とフィリピンの製造拠点であるシチズンファインデバイスフィリピン(バタンガス市)。
水晶デバイスは振動を電気信号に変換して高精度に時刻制御する電子部品。スマホやパソコンといった情報通信機器など時刻制御を行う機器に広く使われる。近年では5Gの普及に伴ってIoT(モノのインターネット)の利用が広がったことに加え、自動車市場ではCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の進展などにより世界的に需要が伸びている。
シチズンファインデバイスは、時計事業で培った水晶の高精度微細加工技術を持つ。「フォトリソ加工」と呼ばれる手法で、より小型で高周波に対応する水晶製品を製造し、世界シェアを伸ばす。
田中伸幸取締役は「コロナ禍でデジタル機器の高機能化のニーズも高まったことも追い風となり、水晶デバイス市場が活性化した。日本のメーカーとしての高い技術力を生かし、海外メーカーとの差別化を図る」と述べた。
日刊工業新聞2021年7月14日