ドコモと提携。現場で簡便にAI処理できるエッジコンピューティングの実力

エッジAIボックス、危険・異常を検知

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現場で映像データを処理できる「エッジAIボックス」

人工知能(AI)によって画像を解析し、業務効率化などにつなげたい需要が高まってきた。ただ、現場から離れた場所へ画像を送って解析すると、通信量が増えてネットワークに負荷がかかる。そこで重要になる考え方が、センサーやカメラといった端末の近くでデータ処理を行う「エッジコンピューティング」。EDGEMATRIX(エッジマトリクス、東京都渋谷区、太田洋社長)は、現場でのAI処理を簡便に行える商材で注目を集めている。

処理を分散

「基本的にはエッジ(現場)で処理を分散し、分析結果を(容量の)小さなデータにして、集計や可視化をクラウドで行うのが一般的なIoT(モノのインターネット)の考え方だ」―。太田社長は、こう解説する。

高速大容量通信の普及などに伴い、遠隔地に設置された計算機をネットワーク経由で使うクラウドコンピューティングが一般化した。だが性能の良いカメラで撮影した高画質の画像を大量に送ってクラウドで処理するとなると、通信量が増大し、伝送の遅延も懸念される。画質を落とした場合はAI処理の精度が下がりかねない。

他社アプリ活用

そこでエッジマトリクスはNTTドコモと提携し、商業施設やオフィスといった現場でカメラ映像をAI処理するプラットフォーム(基盤)の提供を2020年5月に始めた。屋内外に設置する機器「エッジAIボックス」で映像データを取得して解析を行い、危険や異常を検知した際はメールなどで警告する。同年12月には、第5世代通信(5G)対応のエッジAIボックスも発売した。

同基盤は他社が開発したAIアプリケーション(応用ソフト)の展開が可能な点も見逃せない。車のナンバープレートの認識や、赤ちゃんのうつぶせ寝の検知など、用途は具体的だ。太田社長は「AIはベンチャーも含めて良いものが出てきている。さまざまなアプリを調達し、(利用料の)請求代行もやる」とし、多くのアプリ開発会社と互恵的な関係を築く考えを示す。

「赤ちゃんうつぶせ寝検知」など多様なAIアプリを展開する

事例開拓

AI活用事例の開拓にも余念がない。介護向けではパナソニックi―PROセンシングソリューションズ(福岡市博多区)などと連携して、高齢者の徘徊(はいかい)や転倒を把握する枠組みの実証実験を展開している。これまで以上に多様な領域でAIの有効性を確認できれば、アプリの開発や流通の活性化につながる可能性も高まる。そうした好循環を実現できるか試される。(編集委員・斎藤弘和)

日刊工業新聞2021年6月11日

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