パナソニックが米国でリチウム採掘に参入する狙い
パナソニックは米国でリチウムの採掘に参入する。2021年末までに操業開始するネバダ州のパイロットプラントに参画。リチウムは、電気自動車(EV)やスマートフォンなどのバッテリー材料として欠かせないレアメタル(希少金属)で、世界中で争奪戦への発展が見込まれる。車載電池を供給するパナソニックは上流の開発に踏み込み、安定確保につなげたい考えだ。
米エネルギー技術企業、シュルンベルジェニューエナジー(SNE)と協業し、リチウムの抽出や製造工程の検証、最適化に取り組む。SNE子会社のネオリスエナジーが運営するパイロットプラントに対し、パナソニックがリチウム材料の検証や最適化に向けたノウハウを提供。ネオリスは独自の直接リチウム抽出(DLE)法で、製造時間を現状の最大1年半から数週間に短縮しながら高純度のバッテリー用リチウム材料製造を目指す。
パイロットプラントではブライン(かん水)を処理し、高純度のリチウムを抽出。持続可能なリチウム製造に道筋を付けるのが目的。量産を見据えた大規模生産プラントの建設には、パイロットプラントが正常稼働してから、約2年間必要とみている。
同プラントは同州のパナソニックと米テスラが共同運営するEV用電池工場「ギガファクトリー」から約320キロメートルの地点に位置する。パナソニックは品質基準を満たすことを確認できれば、SNEからリチウムを購入する可能性はある。
矢野経済研究所がまとめた車載用リチウムイオン電池(LiB)の世界市場に関する調査によると、車載用LiBの規模は20年実績の167・5ギガワット時(ギガは10億)から30年には764・4ギガワット時になると予測されている。
日刊工業新聞2021年7月16日