海洋分野に広がる宇宙からのモニタリング、JAXAが衛星活用

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宇宙から地球上をモニタリングする陸域観測技術衛星「だいち2号」(JAXA提供)

地球観測強化、災害把握など貢献

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、人工衛星を使って宇宙から地球上を定期的にモニタリングしている。陸域観測技術衛星「だいち2号」などの地球観測衛星を使って観測したデータを基に、災害情報などをウェブ上で共有している。自然災害の被害の軽減・予防や、効率の良い資源エネルギーの探査方法の確立などを目指す。

同機構は、世界の自然災害の監視を目的とした国際協力プロジェクトを進めている。台風や洪水、地震、山火事などの観測データを提供し、自然災害の把握に貢献している。中でも大気汚染では、宇宙から地球上の煙霧や粒子状物質(PM)2・5の流れを観測。発生地点の特定や地上観測網の補強し、大気汚染の予測を発信している。大気汚染による健康被害の防止につながる。

自然破壊の分野では国際協力機構と共同で約80国の熱帯林の伐採・変化の状況を定期的に観測している。森林を宇宙から監視することで、インフラが未整備で治安が悪いなどの課題を持つ開発途上国の監視へのアシストになる。持続的な森林管理の支援や森林減少の抑制による気候変動の緩和につながる。

宇宙からのモニタリングは海洋分野にも広がっている。海洋資源の探査として海底油田起源の油膜を観測し、状況を調べることで海底油田の有無を探る。油膜に覆われると海面が滑らかになり、観測のために照射したマイクロ波の散乱が少なくなるため油膜に覆われた地点は暗く映るため識別できる。

一方でタンカー事故など大量の油が海に流出しても油膜が形成するため、海洋の油汚染の監視もできる。だがタンカー事故などでできる油膜は一時的に発生するだけで、油田のように長期・規則的に見られないため識別できる。船舶の安全で効率的な航行ルートの提供だけでなく、赤潮や油の流出などの海上災害を発見し対策などにつなげる。

その他に豪雨時の上流河川を観測し、下流地域の洪水を予測するシステムを確立した。農業分野では土地の利用や作物の種類・成長などを観測し、農産物を安定に供給できる。さまざまな取り組みを通じて、地球観測衛星で環境の変化を細かく把握することで予測精度が向上し、改善に向けて対策できると期待される。

日刊工業新聞2021年7月15日

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