タムロンが中国で4Kレンズ開発へ、その狙いは?
タムロンは2023年度までに、中国・広東省の仏山工場で4K対応監視カメラ用レンズの開発・生産体制を整備する。現地社員や中国で新規採用した技術者を育成。中国企業のニーズに応じた商品を素早く提供できる点を強みに、存在感を増す中国の監視カメラメーカー向けにOEM(相手先ブランド)供給できるようにする。
すでに日本では4K対応レンズを開発、販売しているが、中国ではフルハイビジョン(HD)対応レンズの開発にとどまっている。フルHD対応レンズは中国メーカー向けにOEM供給していたが、近年は現地メーカーが台頭。低コストで高性能なレンズを展開し、タムロンの製品は苦戦を強いられてきた。
このため、「中国メーカーと競合する中でこのままだと厳しい」(大塚博司常務取締役)と判断。中国での4K対応レンズ開発・生産を決めた。
監視カメラ市場は、第5世代通信(5G)の普及など通信の高速化で、より高精度な画像の撮影が求められている。人工知能(AI)を活用して高解像度の画像を分析すれば、来場者の異常行動を店舗従業員のスマートフォンなどに通知するといった複雑な機能を付与できるため、4Kレンズの需要増が見込める。
タムロンは23年12月期を最終年度とする3カ年中期経営計画で、「監視&FA関連事業」の売上高を20年度比約9割増の170億円に増やす目標を掲げている。同事業を「写真事業」に次ぐ第2の柱に成長させる目標の達成に向け、中国での4K対応監視カメラ用レンズの拡販を目指す。
日刊工業新聞2021年7月7日