後ろ姿で人物を特定するAIシステムの仕組み
NTTコミュニケーションズ(NTTコム)は、後ろ姿のみ映っている防犯カメラの映像でも人物を特定して追跡できるシステム「タクミ・アイズ」を開発した。人工知能(AI)で最大100台の防犯カメラ映像の顔照合と全身照合を即時に分析。途中で変装や着替えをされても追跡を続行できる。大型商業施設やオフィスビル、駅や空港など2024年度までに50社への導入を見込む。価格は個別見積もり。
個人特定や着替えへの対応に強いパナソニックの顔照合技術と、後ろ姿や不鮮明画像での人物特定に強いNTT研究所の全身照合技術を組み合わせた。導入済みの監視カメラシステムと接続可能。20年4月に都内の商業施設が本格運用する。
来訪を検知したい人物のリストを事前登録すれば、店舗入り口に来場した窃盗犯を顔照合技術で自動検知して通報。顔照合と全身照合で店舗内を移動する窃盗犯を複数の防犯カメラをまたいでリアルタイム追跡できる。
また、迷子になった子どもの顔画像がなくても「10分前にゲームセンターにいた」という保護者の報告を基に、過去検索で10分前のゲームセンターにいた人物の一覧を瞬時に表示。その際の子どもの顔画像と全身画像を使ってリアルタイム追跡を開始し、迅速な発見につなげられる。保護者がスマートフォンに保存した子どもの写真を使った追跡も可能だ。
NTTコムが行った実証実験では、目視による映像監視で特定人物を発見できた割合が17%だった場所で、タクミ・アイズを使えば発見率が82%に上昇した。映像確認作業も自動化されるため、警備員が映像確認に要する時間も4分の1に削減できた。追跡リポート出力機能を使えば報告書作成も効率化できる。
今後、転倒した人物や車いす利用者、視覚障がい者などを自動検知し、係員が迅速に支援できる機能の搭載も検討する。