半導体製造装置の安定供給は社会的使命。東京エレクトロンのSDGs
東京エレクトロンは、国連の持続可能な開発目標(SDGs)を意識し、半導体製造装置などのサプライチェーンマネジメントに取り組んでいる。同社はSDGsの17のゴールとひもづけた企業の社会的責任(CSR)目標の重要テーマの一つに、サプライチェーンマネジメントを掲げる。半導体は産業のコメ。半導体製造装置の安定供給は同社の社会的使命になっている。
「物を買うだけの取引ではなくなっている」。常田正英コーポレート調達・生産企画室長は、サプライヤーとの関係性をこう話す。サプライヤーを選定・評価する上で考慮するのは、部品・資材のコストや品質の観点だけではない。「サステナブルかどうか」も重要だ。
サステナブルなサプライチェーン構築に向け、重要な指標の一つが事業継続計画(BCP)対策だ。同社は、東日本大震災を機に調達BCPを本格化。サプライヤーに対するBCP調査を2012年度に始めた。毎年、生産拠点の災害対策などを聞き出し、フィードバックを行う。
また、震災を発端に調達先も分散化。常田室長は「(装置メーカーに限らず)産業界全体で、サプライヤー1社に依存してしまうリスクが浮き彫りになった」と振り返る。現在は、災害発生時に素早く被災状況を把握できるよう、調達品の生産拠点をデータベース化している。
人権や環境などに配慮した行動規範を順守できているかどうかも大事な指標。サプライヤーに対して、電子機器関連産業向けの国際的な行動規範「RBA行動規範」に基づいたCSR調査を実施し、フィードバックを行う。基本的人権の尊重や労働関連法令の順守、環境負荷低減など、サプライヤーのCSR活動を推進する。
荻野裕史CSR推進室長は「我々のサプライヤーで何か問題があれば(半導体メーカーや半導体ユーザー含む)サプライチェーン全体で責任が問われる」と語る。半導体の需要拡大が進む中、サプライチェーンマネジメントの重要性はより一層高まっている。