パソコンの空冷ファンが不要になる!?発熱素子を局所冷却できる装置が登場

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CPU冷却装置の実験を見守る川口桜製油所社長(左)と山口同志社大教授

桜製油所(大阪市平野区、川口達夫社長)はイチネンケミカルズ(東京都港区)、同志社大学と連携し、パソコンの中央演算処理装置(CPU)など発熱素子を、磁性流体を用いた自己循環で局所冷却できる装置を開発した。実用化できれば既存の空冷ファンなどが不要になり、電子機器の省電力化や簡易構造につながる。7月から10セット限定でサンプル出荷を無償で行い、装置の実装を目指す。

冷却装置は、熱を感知し熱エネルギーの輸送を担う磁性流体の入ったフレキシブルチューブと、磁場を加え流体の駆動力を作るネオジム磁石、入熱側と放熱側の熱交換器などで構成する。同装置の特許も出願済み。CPUなどの温度上昇が動力源となり、外気との温度差がポンプのような働きをし、電力不要で循環冷却を行う。

3者は2017年度から磁性流体によるエネルギー(熱)輸送装置の開発に着手。桜製油所が調整役となり、磁性流体を長年研究する同志社大の山口博司教授の指導を受け、同大学で開発を進めてきた。イチケンケミカルは桜製油所の絶縁性オイルをベース液に使い、最適な磁性流体を製造・供給する。

今後も熱交換器の素材を銅合金より安価なアルミニウムにしたり、冷却効率を高めるなど改良を図る。小型化も進め、発熱素子をもつ多様な電子機器への応用を目指す。

液体状態で磁性を示す磁性流体は、半導体製造装置向け真空シールや高音質スピーカーなどで一部製品化されている。山口教授によると、熱エネルギー分野での応用は珍しいという。

日刊工業新聞2021年6月21日

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