内閣府・景気動向指数、コロナ前の水準上回った理由
内閣府が発表した4月の景気動向指数(CI、2015年=100)速報は、景気の現状を示す一致指数が前月比2・6ポイント増の95・5と2カ月連続の上昇となった。4月の一致指数は新型コロナウイルス感染症拡大前の19年11月の水準を上回った。景気の基調判断は「改善を示している」とし、前月からの基調を維持した。
一致指数の集計に使う基礎データの中で判明した八つの指標のうち六つが上昇。小売業や卸売業の商業販売額が上昇に寄与したが、前年同月と比較しており、コロナ影響からの反動増の要素が大きい。投資財出荷指数は3カ月ぶりの増加で、半導体製造装置や建設機械の出荷が伸びた。第5世代通信(5G)基地局向け通信機器などの生産増により、鉱工業生産指数の伸びも寄与した。
景気の基調判断は3月に18年8月以来となる「改善」としており、4月も維持した形だ。サービス支出を中心に弱い動きがある中で、「ワクチン接種が進んでコロナ感染拡大が収束し、経済が正常化すれば消費者マインドは回復する」(内閣府)という期待感から基調を判断した。
景気動向の先行指数は、前月比0・6ポイント増の103・0と11カ月連続の上昇。14年12月以来の高い水準という。
日刊工業新聞2021年6月8日