コロナワクチン輸送に「はやぶさ」技術を!
「はやぶさ」のカプセル運搬技術をワクチン輸送に―。松田技術研究所(東京都板橋区、松田真次社長)は、米ファイザー製新型コロナウイルスワクチンの輸送向けに、精密機器輸送時に振動を分散・吸収する装置「防振サス」の提案を始めた。解凍したワクチンを接種会場にトラック配送する際の揺れが成分に影響する懸念があり、同装置で解消できるとする。最大瞬間加速度12Gに対し、防振サス上では最大1・06Gに抑制した。価格は個別見積もり、リースは月3万円から。
ファイザー製ワクチンは超低温冷凍庫(ディープフリーザー)がある施設で保管し、解凍後に接種会場に配送する。配送時に大きな振動を与えるとワクチンの成分に影響する可能性があることが分かっている。防振サスはこのリスクを最小限に抑えることができるという。短冊状の板バネを球状に折り込んだサスペンションをポリプロピレン(PP)製パネル2枚で挟んだ構造。振動を上下左右に逃して吸収する。
同社は防振サスのトラック荷台への設置を想定。バイクに取り付けても十分に振動を吸収できるとする。防振サスは2010年に地球に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」のカプセル回収ボックス用に宇宙航空研究開発機構(JAXA)に納入実績がある。サイズなど個別仕様に応じる。
日刊工業新聞2021年6月4日