部屋への配送や集荷もお任せ。自動搬送ロボットが挑む実証実験の中身
キュービットロボティクス(東京都中野区、中野浩也社長)は、森トラストの城山トラストタワー(東京都港区)内で、異種・複数台の自動搬送ロボットを使用した館内配送実証実験を始めた。3種類の自動搬送ロボを用い、荷物の大きさや現場の状況に合ったロボを自動選択。ビル内テナントに配達や集荷を行う。実験は7月2日まで。大規模施設内でさまざまな種類の多数のロボを全体制御する館内配送集荷サービスを秋をめどに開発。不動産や建設業界に拡販する。
実験で使う搬送ロボは米サビオーク製「リレイ」、中国プードゥーロボティクス製「プードゥーボット」、同キーンオンロボティクス製「ピーナツ」。他に宅配物の積み込みや荷下ろしで、デンマークのユニバーサルロボット製ロボも使用する。
城山トラストタワーは地上37階・地下2階建てで延べ床面積は約10万6000平方メートル。1日の入館者は約3200人。館内にはさまざまな企業が入居し、宅配物の仕分け・配送業務は膨大になる。
実験ではテナント企業に端末を配布し、集荷に来てほしい場合は大きさや数などを入力した上で同端末で連絡。エレベーターをまたいで配達ができるロボなどを利用して集荷に出向く。
配達の場合はロボがテナント企業の部屋入り口で到着を通知。従業員が箱を開けて中身の宅配物を取り出し、確認して受領入力をすれば、ロボは自動的に集荷場所へ帰る。
各部屋への配送も集荷もロボ任せなため、省人・省力化のほか、感染症拡大のリスクを低減できる。物流事業者もビルに入館せず届け作業が完了するため、館内滞在時間の短縮につながる。大規模なビルの場合、物流事業者の到着時刻はだいたい決まっており、トラックが渋滞を起こすこともしばしばあった。ロボ導入でそうした悩みを解決できる。
キュービットロボは今回の実験結果を踏まえて館内配送集荷サービスの完成度を高め、事業化して不動産や建設会社へ売り込む考え。館内配送集荷以外にビル内自動巡回販売ロボなども開発済みで、ロボを活用したビル価値向上手段としてPRする。