常石が三井E&Sの造船子会社に49%出資する狙い
常石造船(広島県福山市、奥村幸生社長)と三井E&Sホールディングス(HD)は、同社の造船子会社の株式49%を常石が取得することで合意した。商船分野での提携関係を強化するのが狙い。取得額は明らかにしていない。造船市場では中国、韓国勢が経営統合などで巨大化し、日本勢は厳しい状況に追い込まれている。資本関係を築くことで競争力を高め、受注拡大を目指す。常石は関係当局の承認の取得などを経て、10月1日付で三井E&S造船(東京都中央区)の株式を取得する予定。
両社は2018年から業務提携しており、共同調達などを進めてきた。常石は出資をきっかけに、温室効果ガス排出を削減する新燃料船開発や、デジタル技術を用いた自動運航船の研究を進める。小型船事業では常石グループの造船所と、三井E&S造船子会社による共同設計や船台の融通などを通じて競争力の強化を目指す。
一方、三井E&SHDは受注環境が悪化している造船事業では連携による立て直しを重視している。商船分野では常石の海外造船所の活用を視野に入れ、設計や開発に軸足を移す。また、三井E&S造船の艦艇事業などを三菱重工業に譲渡することも決めている。