EV積極展開へ、構造改革を進める「総合機械メーカー」不二越の危機感

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不二越が手がける電動ユニット用薄肉深溝玉軸受

不二越はエンジン車から電気自動車(EV)への移行を見据え、構造改革を進めている。同社は売上高の約50%を自動車関連に依存する。この改革が遅れれば、2020年代後半以降、売上高の減少が避けられないとの危機感がある。すでに事業基盤を持つ建設機械や電機・電子、工具、油圧、ロボットなどの知見を活用しながら、総合機械メーカーとして次の成長の種をまき始めた。(取材・川口拓洋)

EV化でエンジン車向けの軸受や、ポンプ・バルブといった「カーハイドロリクス」、工作機などの需要低減が見込まれる。不二越ではEV分野への積極展開と同時に、産機・市販分野での事業拡大を進めている。約1年半前から「構造改革」として新商品開発、生産の効率化、組織改革に取り組む。

新商品開発では、材料から開発できる強みを生かした独自の取り組みを進める。EVや産機、電機・電子分野に向けて、これまでにない材料を使った工具や軸受などの新商品開発に挑む。

生産の効率化では工場の自動化とグローバルでの集約生産で、生産性を大幅に引き上げる。例えば、標準ラジアル軸受はタイで集約生産する。現地一貫生産で競争力を高める。また、基幹システムも刷新し全世界で共通化。時間や場所を選ばず対応できるシステムを目指す。システム統合により、海外工場の生産計画・調達も富山事業所(富山市)で集中管理し、グローバルでの合理化を実現する。

組織改革では支社長制を廃止した。地域ごとの管理ではなく、事業部制を強化。製販一体型の縦割りにより、顧客の指向を反映した組織体制に変革した。責任の所在を明確化し、顧客のニーズに適した製品やサービスを提供する。21年3月には役職者の6割の所属名称が変わり、2割弱に当たる210人が異動するほど大きな組織改革を実施した。

EV・産機向けの拡販では、EV向け新部品の展開や産機でもこれまで手付かずだった分野に参入する。既存商品の使い方を広げるなどの取り組みも強化し、エンジン車の需要減をカバーするだけでなく売上高の拡大も目指す。拡販では特に、海外市場を開拓。海外売上高比率を30年までに現状の50%から60%へ引き上げる考えだ。

足元は新型コロナウイルス感染症の影響が収まらず、不透明感が続いているが、同社では今後2―3年で構造改革の完了を目指す。「100年に1度」と言われる自動車の大変革時代。同社は社内の基盤を固めることで乗り越え、事業のさらなる成長につなげる。

日刊工業新聞2021年4月28日

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不二越 構造改革

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