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「製造時CO2ゼロ」目指す日産、生産設備の電動化戦略の中身

「製造時CO2ゼロ」目指す日産、生産設備の電動化戦略の中身

工場で使う電力を再生可能エネルギーでまかなう(日産栃木工場)

国内外工場に再エネ

日産自動車は2050年までに世界で製造時の二酸化炭素(CO2)排出量をゼロにする。国内外の工場で使う電力をすべて再生可能エネルギーでまかなう。30年では新型塗装ラインへの切り替えなどでCO2排出量を19年比約4割削減する。日本政府は30年度までに温室効果ガス排出量を13年度比46%削減する野心的な目標を掲げた。日産は製造時の脱炭素を加速し、環境負荷低減に貢献する。

日産は50年までに車の製造から廃棄までライフサイクル全体で、温室効果ガス排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルを目指す目標を1月に掲げた。その一環として50年までに化石燃料を使う生産設備をすべて電動化する。その上でバイオエタノールなどを燃料とした自家発電設備を導入。工場に設置した風力や太陽光発電、再生可能エネルギー由来の電力の購入で生産に必要な電力をまかない、CO2排出量をゼロにする。

30年では低温で車体ボディーと樹脂バンパーを同時に塗装することなどで、CO2排出量を従来比25%削減できる塗装ラインの導入を拡大する。各種部品のネジ締めなど締結作業時の動力を圧縮機による高圧空気から電気に切る変えるなど、細かな積み重ねでCO2排出量を削減する。

また50年までの本格導入を見据え、バイオエタノールを活用した自家発電設備の実証にも乗り出す。日産はこれまでにバイオエタノールから発電した電気で走行する燃料電池車の試作車を開発。エタノールと酸素との反応を利用して高効率に発電する固体酸化物型燃料電池(SOFC)を発電装置としたシステムで16年にブラジルで実証試験も実施した。

自家発電設備ではSOFCで培った技術なども活用して、脱炭素につなげる方針だ。

日刊工業新聞2021年4月26日

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