“堺産”自転車を開発、災害活動支援用で実用化へ
堺市は、電動アシスト自転車ベンチャーのT―TRIKE(東京都台東区、瀧本信英社長)とともに、災害活動支援用自転車の開発に取り組む。各種部品やフレーム、組み立てを市内メーカーで完結させる“堺産”を構想する。地震や豪雨などの救助活動時、緊急車両が進入できない場所でも、自転車ならではの機動性を生かし、資機材や救援物資の運搬、避難者の搬送での活用を想定。2022年度の実用化を目指す。
開発するのは電動アシスト機能を搭載した3輪車。T―TRIKEの車輪制御技術「シンクロシステム」によって、段差がある悪路であっても、衝撃を和らげられる。3輪のため、カーブや斜面でも安定して走行可能だ。
消火活動用小型動力ポンプの運搬や、けが人の搬送用途のほか、複数人を避難させる非常時の乗り物としての活用可能性も探る。実用化には技術課題の解決とともに、法令上もクリアしなければならない問題があり、堺市消防局は関係省庁と協議していくという。
堺市消防局は18年7月の西日本豪雨で、緊急消防援助隊として被災地の応援に駆けつけた際、緊急車両が進入できない事態に直面。路面状況を問わず、燃料補給のいらない活動支援用自転車の活躍可能性を見いだした。
T―TRIKEは、堺市が観光用途で開発した“堺産”自転車タクシーをプロデュースした関係で協業。堺市消防局の要請を受けて、20年に既存車の改修で機能を満たせないか検討したが、抜本的な設計変更が必要と判断。秋をめどに共同で試作車を開発し、各種試験を実施する見通しだ。
日刊工業新聞2021年4月19日