役員の半分を女性に、「顧客志向の組織」目指すLIXILの本気度
LIXILが2030年に役員の半分を女性にするESG(環境・社会・企業統治)戦略を打ち出した。すでに現在の女性役員比率20%でも上場企業の平均1割未満を上回るが、さらに50%まで高めることで、社内外に多様性を尊重する会社として印象付ける狙いだ。窓やトイレなど幅広い住宅関連製品を扱う会社として消費者の半分を占める女性の視点を積極的に経営に取り入れ、「顧客志向の組織になる」(瀬戸欣哉社長)方針だ。(取材・大城麻木乃)
女性管理職30%
取締役と執行役の半分を女性にする。現状は兼務の役員を除くと、15人中、3人が女性。女性の役員候補を増やすためにも、30年までに全世界の女性管理職比率を30%(現状は16・5%)とする。
また新入社員の男女比も半々とする。20年4月までは3割を女性としていたが、21年4月入社では「ほぼ5割が女性になった」(LIXIL広報)。“入り口”の段階から半々とすることで、女性の幹部候補のパイプを太くする。
LIXILは11年に建材・設備機器メーカー5社が合併して発足した。11年以前は「昔ながらの日本企業で女性の総合職の採用も少なかった」(瀬戸社長)。合併後に女性の管理職を積極登用したところ、「2―3年で候補者が枯渇してしまった」(同)。
管理職比率低下
候補となる人材が限られるため、過去3年で女性の管理職比率は下がってしまったという。この反省を踏まえ、新入社員の段階から男女比を半々とすることを明確にした。
なでしこ銘柄に
女性登用の前提条件として、在宅勤務制度や従業員が自由に働く時間を決められる「スーパーフレックス制度」を導入するなど、働き方改革を推進してきた。社員の本社への出社率が1割未満の日もある。
3月には経済産業省と東京証券取引所が選定した女性活躍企業を認定する「なでしこ銘柄」に4年連続で選ばれている。
ある意味、女性が活躍する地盤は整えつつある。あとは会社のトップ層となる役員まで女性を半分とすることで、女性活躍の本気度を示す。