ファミマPB拡充、セブンとローソンは静観。コンビニ大手が衣料販売で温度差のなぜ?
大手コンビニエンスストアで、下着やハンカチなど衣料品販売の方向性が分かれている。新型コロナウイルスの感染拡大で生活様式が変わる中、ファミリーマートは商品拡充に動く一方、ローソンやセブン―イレブン・ジャパンは大きな動きを見せていない。流行に敏感なコンビニでは、ケーキなどのスイーツや飲料は各社が似た商品を投入することが多いが、衣料品は異なる動きとなっている。
ファミリーマートは2019年3月に無印良品の取り扱いを止め、プライベートブランド(PB)商品を強化してきた。多くの人が持つ「コンビニ衣料は緊急時に買うもの」という印象を覆すため、ファッションデザイナーの落合宏理氏を起用。洗練されたデザインを取り入れた。素材は旭化成と伊藤忠商事と協力して、独自のものを開発し、さらさらとした肌触りにこだわったインナーシャツや靴下のほか、これまでなかったアウターTシャツなどと合わせて計68種類(価格は429円―1089円)を商品化した。
日用品雑貨部の吉村直途氏は「アウターTシャツは男女兼用で、緊急時だけでなく日常的に購入していただけることを意識した」と説明する。20年6月に大阪府内で先行販売を開始したところ、「(ブルーとグリーン、ホワイトの)ファミマカラーの靴下がかわいい」と会員制交流サイト(SNS)で話題となった。緊急用途が大半だった土日だけでなく、平日も商品が売れるようになり、3月23日からは全国販売を始めた。
ローソンでは下着や靴下、ハンカチなど約70品を販売する。コロナ禍以降、トイレでジェットタオルの使用が禁止されたことから、ポケットに入るサイズのタオルハンカチ(550円)が売れており、商品を増やしている。衣類の伸びは小さい。20年6月から一部店舗で「無印良品」の販売実験を開始しているが、「衣料品よりは食品をメーンに取り扱っている」(ローソン)といい、実験は現在も継続している。
セブン―イレブンもパンストや男性用の下着など「緊急性が高く、需要のある定番商品を販売中」(セブン―イレブン)という。ただ、コロナ禍以降、販売が伸びておらず「間に合わせのためにコンビニで買う方が多い。種類を増やしたり、数を減らしたりはしていない」(同)。生活様式もまだまだ変化すると予想される中で、各社の判断の明暗も分かれそうだ。
(取材・丸山美和)