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世界トップクラスの色を表現する3Dプリンター、教育・医療ビジネスでも

世界トップクラスの色を表現する3Dプリンター、教育・医療ビジネスでも

1000万色以上の色合いが表現可能(ミマキエンジニアリング提供)

ミマキエンジニアリングは2次元(2D)プリンターで培ったインクジェットプリンター技術を活用し、3Dプリンターで1000万色以上のフルカラー造形を実現した。今後の需要獲得に向け、営業本部グローバルマーケティング部の横関暁登リーダーに聞いた。(長野支局長・浅野文重)

―自社製3Dプリンターの特徴を教えて下さい。

「看板は平面が多いが、将来的に立体的なニーズがあると見て3Dプリンターの製品化に乗り出した。そこでフルカラーで造形が可能な3Dプリンターを2017年に開発した。1000万色以上の色合いを出せる機種は世界初だ。日本ではフルカラー造形ができる3Dプリンターを開発した唯一の企業が当社で、世界トップクラスの色の表現を出す技術力がある」

―プリンター周辺の製品はどうですか。

「造形に必要なサポート材を開発した。水に溶けるインクを採用し、造形物を取り出しやすくなるように工夫した。3Dプリンターで造形した精巧なデザインを破損することなく、サポート材を除去できる。例えば人のフィギュアの髪の毛先といった細かな部分を表現できる」

―3Dプリンター造形品の強みは。

「適量なインクを正確な位置に飛ばす吐出技術により、精巧な造形物を作れる。人の表情や歴史的建造物などの微細なデザインも豊かに表現ができるようになった。透明を表現する『クリアインク』の活用で、建物の窓やガラス瓶のような本来見えない部分を透かす表現を取り入れた」

―今後の注力する分野はどこですか。

「企業が開発する製品の試作品を内製化するニーズは高いとみている。歴史的建造物などを正確に縮小でき、保存・保管を目的とした取り組みもある。建設予定の橋といった立体模型を造形すれば、顧客や近隣の住民は事前に構造物をイメージできる。教育や医療でもビジネス利用が見込まれることから、市場を開拓していきたい」

日刊工業新聞2021年3月25日

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