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複合機事業が停滞するシャープ、オフィス機器一括管理サービスで打開なるか

複合機事業が停滞するシャープ、オフィス機器一括管理サービスで打開なるか

オフィス機器をまとめて一括管理するサービスに、他社製の顔認証自動検温システムを追加

コロナ禍に伴うテレワーク普及により、複合機などのオフィス機器各社を取り巻く環境は厳しさを増す。それを打開すべく、シャープは複数のオフィス機器を一括管理して提供するサービスを強化している。業務支援ソフトウエアや保守サービスをセットにすることで、専門のIT担当者を配置する余裕がない中小企業向けに訴求する。(大阪・園尾雅之)

「オフィス閉鎖に伴うプリントボリュームの減少で、複合機は営業減益となった」。2020年4―12月期連結決算会見で、シャープの野村勝明社長は販売台数は公表しないものの、複合機事業の厳しさを語った。

シャープの複合機などのオフィス機器を含む法人向け事業は最後に個別に開示された19年3月期の売上高が全社の13・4%を占める約3200億円。安定した利益を稼ぎ、シャープの経営を支えてきた主力事業の一つだ。20年夏以降は国内販売も持ち直しつつあるが、テレワーク普及が与えた影響は大きい。

そうした中で20年8月に始めたサービスが「ココロオフィス」だ。複合機、ネットワーク接続ストレージ(NAS)などを専用アプリケーション(応用ソフト)で一括管理。さらにウェブ会議システムや勤怠管理システムなどの業務支援ソフトもセットで利用できる。トラブル時はサポートセンターによる支援が受けられる点も大きい。

同サービスはその後、電子黒板など対応機器を拡充してきた。一括管理を実現することにより、複合機でスキャンしたデータを電子黒板に映し出すといった機器間連携もやりやすくした。さらに月内には対応機器の利用状況を診断するサービスも追加する予定。ビジネスソリューション事業本部ココロオフィス推進部の三村晋也課長は「簡単なIT管理者の代わりを、シャープが担えるようにしたい」と語る。

同じく月内には他社製の顔認証自動検温システムも追加する予定。検温したデータを勤怠管理システムと連携するような運用も検討しているという。その上で、空気清浄機や他社製の業務用エアコンなどにも一括管理の対象を広げる方針だ。

シャープは販売子会社のオフィス機器部門におけるソリューション関連の販売比率を、現在の15%程度から23年3月期までに30%へ引き上げる計画。オフィスの働き方が見直されつつある中、ハードとソフトの一体提案をどう軌道に乗せるかが問われている。

日刊工業新聞2021年3月19日

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