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日本からハワイの「すばる望遠鏡」をリモート操作、国立天文台が環境構築に着手

日本からハワイの「すばる望遠鏡」をリモート操作、国立天文台が環境構築に着手

米ハワイ島にあるすばる望遠鏡(国立天文台提供)

日本⇔米ハワイ島、データ伝送100倍速

国立天文台は、大学や研究者の自宅から米ハワイ島にある「すばる望遠鏡」を遠隔操作し観測を実施できる環境の構築を始めた。国立天文台本部(東京都三鷹市)と米ハワイ島の観測室をつなぐネットワークを高速化し、従来よりも約100倍速くデータを伝送できるようにする。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、データの伝送の高速化や観測のリモート化が求められたことから完全遠隔観測ができる環境を整える。国立天文台の常田佐久台長が日刊工業新聞の取材に答えた。

すばる望遠鏡は山麓にある観測室「ヒロ山麓施設」とつながっており、そこではリモート観測やデータ処理が行える。さらにヒロ山麓施設は国立天文台本部と専用ネットワークでつながっており、観測データを同台本部で確認できる。今回のプロジェクトでは、大学や研究者の自宅、海外の研究者にもネットワークを広げ、どこにいてもすばる望遠鏡の遠隔観測やデータ取得をできるようにする。

完全遠隔観測を効率良く行うには、ネットワークを高速化させる必要がある。ヒロ山麓施設と日本をつなぐネットワークはデータの伝送速度が遅く、1日分のデータ量だと数時間以上かかる。

そこでヒロ山麓施設から日本に大規模な観測データを高速で伝送し、三鷹本部で高速処理をして研究者が観測状態を随時チェックできるように整備する。米ハワイ大学などと連携してネットワークを構築する。これまでより100倍速く、1画像で数分かかるデータ伝送が数秒でできるようになる。

日刊工業新聞2021年3月16日

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