アプリとセントラルキッチンで店舗負担を減らす!「シコメル」が狙う飲食店DX
飲食店向けアプリケーション(応用ソフト)サービス「シコメル」を展開するシコメルフードテック(大阪市平野区)は、飲食と食品業界のデジタル変革(DX)を推進する。シコメルで飲食店が提供するメニューの仕込みを発注できる。設立の経緯や今後の計画について西原社長に聞いた。(大阪・池知恵)
―事業化の経緯は。
「(社長を兼務する)西友フーズは飲食店向け業務用食品の製造販売を行う。賃料が高い都心部の飲食店は狭いキッチンで調理し、小規模であるほど仕入れコストがかかっている現状をみていた。負担となっている仕込みを請け負うセントラルキッチン(集中調理施設)ができないかと考えたのがきっかけだ」
―食品加工工場との提携を進めています。
「セントラルキッチンとして提携する食品加工工場を関西圏に8拠点持ち、大阪の物流センターに集約して飲食店へ配送する。シコメルへの発注から約2日で飲食店に仕込み済み商品を提供できる。新型コロナウイルスの影響で需要がなくなった機内食工場や、おせち料理工場の閑散期などを活用している。提携工場はさらに増える見込みだ」
―シコメルを利用する飲食店はどれくらいですか。
「約550店が登録し、2021年度内には2000店になる見通しだ。コロナ禍によるデリバリー需要の急増で、短時間の調理で早く顧客に届けることが求められ、調理を簡略化するニーズが増えたためだ」
―飲食店のメリットは何ですか。
「食材の仕入れコストが減り、調理工程が短くなることで最小限の設備で店舗を運営できる。他店舗のメニューも発注できるため、新メニュー開発への手間を省ける上に有名なレストランの商品を提供できる魅力がある」
―課題と今後の計画を教えて下さい。
「事業が急拡大し、人材が全く足りない状態だ。4月にも人員を増強する。飲食店の需要増に合わせ、提携工場と物流センターの拡大を急ピッチで進めている。現在は月商3000万円で、24年度までに同3億5000万円となる見込みだ。資本業務提携を結んだC2C(東京都港区)と協働して新サービスを開発中だ」
ポイント/コロナで苦しむ業者を救済
シコメルフードテックは、市販用・業務用食品などの製造販売を手がける西友フーズ(大阪市平野区)社長を務める西原直良氏が2019年に創業。飲食店や冠婚葬祭関連、航空業界向けなどに料理を提供してきた食品加工業者はコロナ禍で業績が落ち込んでいる。こうした業者を救済し、事業拡大に貢献する事業として注目を集めている。サービス地域は近畿圏と関東圏の一部だが、提携工場や物流拠点を拡大し、サービスの全国展開を目指す。