NECとロッキードが宇宙船開発のAI導入でタッグ!設計や製造の異常予兆検知に
NECと米ロッキード・マーティンは2日、宇宙船開発における人工知能(AI)の本格導入に合意したと発表した。米航空宇宙局(NASA)が2024年を目標とする月探査計画「アルテミス」向けにロッキードが開発を進める有人宇宙船「オリオン」をはじめ、さまざま宇宙船で活用する予定。両社では複数年にわたるライセンス(使用許諾権)契約の締結を検討中という。
NECのAI技術群の一つである「インバリアント分析技術」をロッキード製のデータ分析システム「T―TAURI(ティータウリ)」に統合し、宇宙船の設計・開発や製造、試験段階のシステムの異常予兆検知に用いることを決定した。
インバリアント分析技術は多数のセンサーから収集されるデータからシステムの振る舞いを学習・監視し、いつもと違う挙動をサイレント障害として検知するAI技術。
両社は17年から協業している。第1弾として、オリオンの試験で生成された大量のデータを分析。約15万個のセンサーのデータから、4時間以内に220億以上の論理的な関係性を抽出し、通常動作のモデルを構築した。このモデルを使用して、今後のオリオン開発におけるすべての試験を監視し、予想される動作と実際に起きた異常動作を比較して原因分析に役立てる。少数の技術者でもシステム全体の試験の詳細な分析が可能になる。
日刊工業新聞2020年3月3日