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木村化工機がCO2を大幅削減できる「ヒートポンプ式低温蒸発装置」発売

木村化工機は高COP(成績係数)の蒸発温度範囲を拡大し、二酸化炭素(CO2)を大幅削減する「省エネ型ヒートポンプ式低温蒸発装置」を発売した。ボイラ蒸気を使用せず、100%電力のみで蒸発・蒸留ができ、最高加熱COP7・5を実現した。化学プラントをはじめ食品や医薬関連などを中心に、2021年度(22年3月期)中に約15億円の受注を目指す。

ヒートポンプは神戸製鋼所製の「HEMシリーズ=写真」を採用した。装置から排出され不要になる低温レベルの熱を回収し、有効なエネルギーとして再利用することで高COPを達成。蒸発温度範囲も13度―87度Cに広がった。

CO2排出につながるボイラ蒸気を使わず、電力も電気ヒーターではなく潜熱を有効利用できるヒートポンプ式を採用。これらの機能を最大限に発揮する木村化工機独自のシステムを組み合わせ、高レベルの省エネルギー化を実現した。システム開発に際し5件の特許も取得している。

蒸気や冷却塔水は必要なく、高温水や低温水が処理液と接触しない構造のため、ヒートポンプは腐食性流体や可燃物、汚染物質などの影響を受けない。さらにフッ酸やリン酸、塩酸、硫酸などのほか、熱の影響を受けやすい食品やタンパク、菌類含有液などの濃縮にも使える。

同社は10年に同様のヒートポンプ式蒸発装置の商品化に取り組んだが、低COPと蒸発温度範囲の狭さから販売を見合わせた。今回、HEMシリーズの採用で課題を解決、本格販売に乗り出した。

日刊工業新聞2020年3月1日

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