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パナソニック、欧州で業務用エアコンを現地生産する事情

国内市場は頭打ち、海外販売を拡大へ

 パナソニックは2021年にも欧州で業務用エアコンの生産に乗り出す方針を明らかにした。すでにチェコで生産しているヒートポンプ式温水暖房機と合わせて、欧州の空調事業を拡大する。既存工場を活用する。同社の欧州市場における業務用空調のシェアは現状7%程度。25年に15%まで引き上げる。現地生産への切り替えと販売力の強化により、現地ニーズを素早くすくい上げる。

 「ビル用マルチエアコン」と呼ばれる、1台の室外機で複数の室内機を稼働できるエアコンなどを生産する考え。欧州の環境規制を追い風に、省エネルギー性などの優位点を訴求する。

 生産拠点はチェコ工場や、2月に業務提携した空調・換気システムを手がけるシステムエアー(スウェーデン)の工場活用を検討する。液晶テレビなどを製造するチェコ工場は、18年から温水暖房機を生産している。

 パナソニックの業務用空調の生産拠点は現在、群馬県、中国・広州、中国・大連、マレーシアの4工場。欧州向けはマレーシア工場から輸出している。欧州での現地生産により、輸送コストやリードタイムの削減、仕様変更に迅速に対応する。

 国内市場の成長が頭打ちのなか、パナソニックは海外販売の拡大を進めている。最近では10月に香港の業務用空調機器メーカー、ウェルカム・エアーテックと開発や販売で提携に合意した。

 業務用空調については、20年度に2000億円(16年度比約2倍)の売上高目標を掲げている。販売要員の増員などで販売体制を強化し、長期的には業務用空調の海外売上高比率を70%(現在約55%)まで高める方針だ。

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