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IHIが100%濃度のCO2を大気から回収に成功、植物工場で活用へ

IHIはそうまIHIグリーンエネルギーセンター(福島県相馬市)のそうまラボで、空気中から二酸化炭素(CO2)を回収するDAC(直接空気回収)で、100%濃度のCO2回収に成功した。4月から植物工場での実証に入る。再生可能エネルギーで生成した水素で合成した濃度99%のグリーンメタン製造実証も開始する。CO2排出削減に向け、技術開発を進める。

大気中からCO2を分離・回収するDACの小型プラントを開発し、100%濃度で回収した。

アミン溶液へ球体の基材を浸し、引き上げて乾燥させて固化。基材表面全体をアミンが薄い膜として覆い、ブロワーで空気を吸い込みCO2を吸着する。CO2の分離には熱を加える。CO2の回収、単体での連続運転を確認した。

4月には回収したCO2を使う植物工場を稼働する。400平方メートルのハウスで水耕栽培を行い、CO2は配管を通じて植物の根本へ供給する。さらに2021年度に性能を向上・小型化した新しいDAC装置を設置し、22年度にCO2排出量マイナスの植物工場のフル稼働を目指す。

また、DACからのCO2と、太陽光発電で生成した水素によるグリーンメタンの合成実証も行う。このため同ラボ内に1時間当たり12立方メートルのメタンを製造するメタネーション実証装置を完成。多段式反応機により都市ガスと変わらない95%以上のメタン濃度が目標。

CO2と水素によるグリーン化学品についても、21年度から小型試験装置を導入してポリエチレンなどのオレフィン系樹脂の原料開発に着手する。

日刊工業新聞2020年2月12日

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