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大成建設が“建材見える化”のX線CT機を開発、内部構造を超精密測定

大成建設が“建材見える化”のX線CT機を開発、内部構造を超精密測定

大成建設が開発した高出力・高精細X線CT試験装置の内部

大成建設は建設現場で使用するコンクリート、土などの材料特性を非破壊・3次元(3D)で可視化する「高出力・高精細X線CT(コンピューター断層撮影装置)試験装置」を、建設業界で初めて開発した。1台の試験機に異なる二つのX線CT装置を搭載し、強力なX線放射と照射面の拡大で、多様な試料をマイクロメートル(マイクロは100万分の1)単位で測定できる。高層建築物や高速鉄道による大深度地下の工事では、より高品質な材料が求められており、今後の材料開発につなげていく。

高出力・高精細X線CT試験機は、X線源と検出部が回転しながら試料を撮影する医療用撮影装置と、固定状態で撮影する工場用撮影装置を1台の試験機に搭載した。異なる2種類のX線装置を1台の機械に搭載するのは世界初という。

医療用X線装置のX線源は人体向けに比べて電圧が約3倍となる高出力。最小焦点寸法が4マイクロメートルと高精細な照射を可能とするX線源により、直径数十センチまでの試料の内部構造を高解像度で撮影する。X線検出器は、最大受光面サイズが418ミリ×418ミリメートル、画素数が3008×3008。画素サイズが139マイクロメートルと大型で、高解像度に対応する。

積載可能な試料(材料)の寸法は、直径が最大400ミリメートルに対して、高さは従来の3・3倍超となる最大1000ミリメートルで、縦長の建材に適応。試験装置の最大積載量は100キログラムで重量物にも対応する。専用の揚重設備を搭載するため、重量試料や試験体の設置が容易になった。

今回開発した試験装置は、各種材料や試験体の大きさ、形状、用途に応じた撮影方法の選択が可能で、繊維補強コンクリートの繊維配向など、従来は困難だった試験体の内部構造を精密に評価できるようになった。

複合材料からなる建設材料の安全性、耐久性に関する品質の可視化や材料内部を正確に把握することで、新材料開発やシミュレーション技術の開発にもつなげる。

日刊工業新聞2020年2月12日

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