中国の外国船「強制排除権限」法改正、日本に対抗手段はあるのか
重要性増す日米同盟
中国が改正国防法に続き、日本の海上保安庁に相当する海警局の権限を定めた海警法を制定した。外国が中国の主張する管轄海域内に入った場合、武器使用を含む強制退去措置ができるとの内容だ。中国は尖閣諸島(中国名では釣魚島)も一貫して、自国の固有領土だと主張している。国際批判を無視して南シナ海の南沙諸島の埋め立て・軍事基地化や台湾への示威行動を続ける中国。自民党議員や防衛省は警戒姿勢を強めている。
海警法は海警局が重点島や環礁、排他的経済水域、大陸棚の人工島しょ、施設の安全を保護すると定め、管轄海域で外国船舶が退去を拒んだ場合に強制退去や強制えい航ができるほか、武器使用を含む必要措置を講じて危険排除する権限を持つと明記している。2月1日から施行する。武装を持つ準軍事組織として、中国の国防法と中央軍事委員会の命令に基づいて防衛作戦任務を遂行すると規定した。
中国公船の数は、海上保安庁の巡視船より圧倒的に多い。領海内や領空に侵入し、戦闘機が緊急発進(スクランブル)する回数も高水準が続いており、上空と海上の双方で軍事衝突など不測の事態が生じる危険性が高まっている。
岸信夫防衛相は米国バイデン政権発足で就任したオースティン国防長官との電話会談で、日米安全保障条約第5条が尖閣諸島に適用されるとの発言を引き出した。東シナ海・南シナ海問題に関し、力を背景にした現状変更の試みに反対する姿勢も確認した。中国の武力侵攻を思いとどまらせるためにも日米同盟の絆は不可欠だ。