NTTがグループ全18万人にセキュリティー研修、デジタルツインを支える人材に
NTTは約18万人いる国内グループ会社の全社員を対象とする新たなセキュリティー研修を2月下旬ごろに始める。事業会社ごとに研修を企画していた状況を改め、グループ全体で知識の底上げや均一化を目指す。セキュリティー関連の社内認定制度も刷新し、教育範囲を全社員に広げる。情報通信技術(ICT)が発達し利用例も多様になる中で、サイバー攻撃などの脅威は深刻さを増す。NTTは人材育成の強化で変化への対応を図る。
新たな全社員研修はICTを活用した学習の仕組みであるeラーニングで展開。知識や技術の定着を図るため、毎年継続的に行う方向で検討する。NTTグループ内外のセキュリティー問題や、サイバー攻撃の傾向および基本的な対策などを題材とする。各事業会社が自社の業務内容に応じて必要な学習項目を追加できる枠組みの整備も視野に入れる。
従来、NTTグループのセキュリティー人材体系は「初級」「中級」「上級」に分かれていた。今後は初級を「発展的に解消」(NTT)する。初級の取得は任意で、2020年末時点の取得者は約5万1000人だった。21年度は初級の認定を行わない。新たな全社員研修を受けた人に対しては、理解度の測定を兼ねたアンケートを実施する。
新型コロナウイルス感染症の拡大や働き方改革などでICTの活用事例は多様化し、サイバー攻撃などの脅威も変化しつつあると考えられている。情報処理推進機構(IPA)が1月にまとめた「情報セキュリティ10大脅威2021」では、組織における脅威の3位に「テレワーク等のニューノーマルな働き方を狙った攻撃」が初めて入った。
NTTは現実世界にあるモノの状態や機能などをサイバー空間上へ写像して正確に表現し、現状分析や将来予測に役立てるデジタルツインの研究を進めている。デジタルツインでは大量のデータを扱うため、機密性保護の重要性が増すとみられる。こうした点を踏まえたセキュリティー教育も求められる。