経産省がサイバー対策を加速、産業界全体で中小企業を守るコンソーシアム立ち上げ
経済産業省は2020年末までにサイバーセキュリティー対策を推進するためのコンソーシアムを立ち上げる。増加傾向にある中小企業を標的にしたサイバー攻撃やサプライチェーン(供給網)を脅かすリスクなどに対し、産業界全体で対策を進める枠組みを築く。経済団体や産業団体を通じて参加を呼びかけ、企業主導による運営で地域や自治体、大学など多方面を巻き込んだ戦略的な運動を展開する。
コンソーシアムは「サプライチェーン・サイバーセキュリティ・コンソーシアム(仮称)」の名称で展開を予定している。既に経済団体や産業団体に参加を呼びかけており、企業規模や業界を問わず参画できる形態で進める。中小企業の対策が進まない現状に対し、産業界全体での機運の醸成を図る。
総会や運営委員会の下にワーキンググループを設け、具体的な実践への議論を深める。「中小企業対策強化」「地域SECUNITY(各地域でのコミュニティー)形成促進」「産学官連携による人材育成促進」の三つを柱に、多角的な対策の構築につなげる。
経産省による「サイバーセキュリティお助け隊」事業と連動し、サイバーセキュリティー対策サービスを提供する事業者と利用する企業の双方のメリットとなる環境づくりも進める。コンソーシアムが策定した審査基準などを満たす事業者に商標利用権を付与して地域特性や産業特性に見合った展開につなげる一方、サービスを使う企業に「お助け隊マーク」の利用を認めるなどして普及を図る。
経産省によると19年度のサイバーセキュリティお助け隊の実証に参加した全国8地域の1064社のうち、910件のアラートが発生した。サプライチェーンの中でセキュリティーが弱い組織が標的となって被害が多方面に広がる傾向もあり、産業界全体で対策を講じる一歩としてコンソーシアムを軸とした運動の可視化を進める。